「こども・若者の声を聴く」を問い直す
Day1 21日(土) 12:00-14:30 萱野小学校 体育館
今年の協同実践交流会全体会では、「こども・若者の声を聴く」という言葉や行為で見落とされるもの、ないものとされることに着目し、「声を聴く」という行為を協同実践者として振り返り、問い直す機会とします。
- 問題提起&話題提供
- 栗田 隆子さん(文筆家)
- 横江 美佐子さん(京都市ユースサービス協会)
- 原 未来さん(滋賀県立大学)
関西の実践現場に集う若者たち
2023年に発足した「こども家庭庁」。「こどもまんなか」に「こども・若者の声を聴く」と謳い、にわかに「こども・若者の声を聴く場・機会を設けよう」「こども・若者は意見を言えるのだ」と社会に発信されています。
この「こども・若者の声を聴く」には、こども・若者が「自分の感じていること、考えていることを信頼のおける誰かに表明できること」と、それを聴く大人側がかれらの感じていることや考えていることを「真摯に受け止めること」の両側面があります。また、「こども・若者が発する声やつぶやきを聴きとれる関係性の構築」、「こども・若者が自分の考えを他者に伝えられるようにサポートしたり、機会づくりをすること」も含まれます。
しかし実際には、「こども・若者」の「声」は日々、さまざまなかたちで抑圧され、妨げられ、軽視され、ないものにされてきた歴史があります。その反省や総括なしに「声を聴く、聴かせてほしい」と他者から言われても、いまさら何を言えというのだろうと空々しくも聞こえます。またその「声を聴かれる」存在として、主体として扱われずに客体化され、今もなお医療モデルで安易に病視・障害視されがちであったり、逆にもてはやされて利用されたり、勝手に代表性を与えられるなど、その取り扱いには違和感を覚えざるを得ません。
一方で、私たち協同実践の現場では自分が安心できる安全な場所や場においては、自分の感じていることを誰かに聞いてもらいたい、今の状況をどうにかしたいと思い、同じような境遇の仲間や同じような問題意識を持つ人たちと共に社会に働きかける動きを作ることもしてきました。そこでは互いの生存がどのような状態にあっても、どのような年代でも、私たち協同実践の現場では接し合い、そこでの「声」をもとに社会の不条理さをともに解決していく営みを見出してきました。
では、なぜいまこの社会の中でわざわざ「こども・若者の声を聴こう」と発信されているのか。そこで想定される「こども・若者」とは誰のことなのか。その意味合いを改めて吟味していく必要があるのではないでしょうか。
本年の協同実践交流会全体会では、「こども・若者の声を聴く」という言葉や行為で見落とされがちなもの、ないものとされることに目を向け、「声を聴く」という行為を協同実践者として振り返り、問い直す機会としたいと思います。