JYC フォーラムは、若者の置かれる不利な状況を起点にして、社会的孤立・排除の課題に向き合う実践者(支援者・当事者・家族・研究者・行政関係者・市民等)の実践や思いを交流しながら、より生活しやすい社会の形成に向けた協同的な関係づくりを目指して活動する団体です。
JYC フォーラムは、若者に関わる実践者の交流会(「全国若者・ひきこもり協同実践交流会」)を出発点としています。この実践交流会が始まったのは2006 年で、参照すべきモデルがないなかで、試行錯誤を続けてきたひきこもり支援者の自主的な勉強会と実践交流を目的としてスタートしています。年1回の交流会開催を主な活動にすえて、開催地域での実行委員会の集会づくりの取り組みを通した実践者相互の協同的な関係づくりを目指してきました。以降、年1回全国各地で開催してきました(和歌山⇒東京⇒京都⇒札幌⇒佐世保⇒岐阜⇒神戸⇒宮崎⇒大阪⇒沖縄⇒福島⇒東京⇒富山)。当初は「社会的ひきこもり支援者全国実践交流会」と題していましたが、2015 年の第10 回大会からは、「ひきこもり」という問題だけでなく、ひきこもり状態も含めつつ、「社会的に不利な状況にある若者」という課題設定へ拡張し、名称も「全国若者・ひきこもり協同実践交流会」へ改変しています。
この実践交流会を開催する中で、様々な課題が浮上してきました。若者支援、特に就労支援に関しての制度政策が進む一方、社会的孤立に関する課題に対しては、支援の対象を明確に規定できない理由から制度に乗りにくい課題がまずあります。また、社会的自立を丸ごと支える縦割り行政に横串をさす制度は進んできていない現状も明らかになってきています。
そのような中、実践現場においては、社会的に孤立する若者の増加が進む一方、それを支える支援団体は、委託事業をめぐる競争や分断がおきていたり、小規模な団体が多数を占める中、事業実施に追われ目の前の若者にとって何が必要かより、自分の団体を支えるために何をすべきかで自分自身の立ち位置を見失いがちになっている現状があります。若者自身においても、就労支援が中心の適応主義・訓練主義的な支援が増える中で疲弊し、主体的に社会に参加する状態にはならない状況も増加の一途を辿っています。
一方、地域展開を進めてきた実践交流会作りで、その地域で暮らす若者にとって今何が必要なのか、制度・政策に当てはまらない当事者に、協同することによって何ができるのか、その動きを支援者だけでなく、当事者である若者も家族も研究者も、そして行政関係者・市民も巻き込む形で実践をつくる動きが生まれつつあります。地域や若者の特性に応じて実践をみんなで作っていく中で、制度政策の隙間に落ち込む状態を回避するだけでなく、ともに社会をつくる実践者としての意識が生まれてきています。
この動きを進めていくためには、年1回の実践交流会作りを下支えする任意団体の現体制では限界を感じ、恒常的に支え続けられる体制作りが急務であると考え、法人としての1歩を踏み出していきます。